文学座と演劇集団キャラメルボックスが
初のコラボレーション!
「賢治島はここにあります」
街の片隅の、小さな空き地で始まるストーリー。
「劇場がなくとも、美術や照明がなくとも、いつでもどこでも上演可能な芝居を」このコンセプトの下、演劇集団キャラメルボックスの成井豊が世に送り出した『賢治島探検記』。宮沢賢治の珠玉の名作群を原案とした本作は2002年の初演以来、多くの観客を魅了し続け、再演、再再演と、その度に進化を遂げながら繰り返し上演されてきました。
そして、宮沢賢治生誕130年という記念すべき年を迎える2026年、この不朽の名作に新たな息吹が吹き込まれます。日本の演劇シーンを牽引する文学座より、新進気鋭の演出家である西本由香を迎え、『賢治島探検記
2026』として、新たな一歩を踏み出すこととなりました。
「文学座」と「演劇集団キャラメルボックス」。
二つの劇団の垣根を越えた、初のコラボレーション公演が実現いたしました。それぞれの劇団が培ってきた伝統と革新、そして確かな技術と情熱が融合することで、『賢治島探検記』はこれまでにない深みと広がりを見せ、観客の皆様に新たな感動をお届けすることとなるでしょう。
2026年1月に上演される『賢治島探検記 2026』。演劇史に新たな1ページを刻むであろうこの作品に、どうぞご期待ください。
宮沢賢治が描いたイーハトーブは、心の奥に実在する「もうひとつの世界」だと言われます。
残酷さも、可笑しみも、祈りもすべてが同じ地層に沈殿し、そこから物語が立ち上がる――、一見夢の世界のようでありながら、実はその在り方は、今を生きる私たちの世界の鏡像でもあります。戦争や争いが絶えず、日常の中にも小さな悪意や幻滅がある。その現実と向き合うとき、人はどうやら物語を必要とする。
震災から生まれた本作からは、そうした心の奥底から湧き出る、かすかな、それでいて確かな物語を希求する声が聞こえてきます。
童話の登場人物たちはファンタジーの住民であると同時に、私たちが職場や電車で見かける誰かの姿でもあります。現実と物語の境界を行き来する“劇中劇”という形式は、観客をもその探検へと招き入れるでしょう。
文学座と、キャラメルボックス、この二つの対照的な色が出会うことで、賢治の心象世界が新たな彩りをもって立ち上がることを願っています。厳しい世界にあっても、存在していることがふと嬉しくなる――そんな瞬間が劇場に生まれますように。
西本由香
ストーリー
街の片隅の小さな空き地にやってきた、ある大学のゼミの一行。
「賢治島はここにあります」と教授が口を開く。
それを証明するため、教授と学生たちは宮沢賢治の童話の数々を芝居として上演することに――